Therapeutic Apheresis and Dialysisへの論文(新型コロナウイルス感染透析患者の鼻咽頭PCR陽性の持続)掲載のご報告

 血液透析患者様は

・皮膚や粘膜が乾燥しやすく、バリア機能が弱い

・血液の透析膜との接触や透析液の曝露,透析液中に抗酸化物質が喪失することよる酸化ストレスの増加

・腎不全に伴う白血球の機能障害

・糖尿病の合併による易感染性

といった要因で、感染症にかかりやすく、重症化しやすいといわれています。

また、新型コロナウイルス感染に関しては

・週3回通院しなければならず、自宅での隔離経過観察は困難

・集団で行う治療なのでクラスターを発生しやすい

といった特徴があります。

 2020年9月11日までで、新型コロナウイルス感染症の血液透析患者数は243名で、死亡率は13.6%、特に70歳代では

23.8%、80歳以上で21.3%と高率です。

http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/03_info/doc/corona_virus_infected_number_20200911.pdf

 新型コロナウイルス感染症においても血液透析患者さんは罹患の頻度が多く、かかると重症化しやすいようです。

地域の基幹病院の先生との共同研究で、新型コロナウイルス感染症の血液透析患者さんは鼻咽頭PCR検査での陽性が長時間持続することを発表しました。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1744-9987.13566

 陽性持続日数は発症より平均29日で、初の陰性確認は平均34日でした。PCR陽性だからといって感染力があるわけではありませんが、透析患者さんは回復するまで時間がかかり、注意が必要です。